老人と海(新潮文庫)
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- ¥540
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発行者による作品情報
八十四日間の不漁に見舞われた老漁師は、自らを慕う少年に見送られ、ひとり小舟で海へ出た。やがてその釣綱に、大物の手応えが。見たこともない巨大カジキとの死闘を繰り広げた老人に、海はさらなる試練を課すのだが――。自然の脅威と峻厳さに翻弄されながらも、決して屈することのない人間の精神を円熟の筆で描き切る。著者にノーベル文学賞をもたらした文学的到達点にして、永遠の傑作。
APPLE BOOKSのレビュー
20世紀アメリカ文学を代表する作家、アーネスト・ヘミングウェイの代表作として名高い『老人と海』。老いた主人公に宿る不屈の精神、自らの尊厳をかけて行動する人間の強さ、美しさを描き、時を超えて読み継がれてきた不朽の名作だ。キューバのとある漁村に暮らす老漁師のサンチャゴは、84日間もの不漁に見舞われていた。自らを慕う少年に見送られ、再び小舟で大海へと漕ぎ出した彼は、見たこともないほど巨大なカジキと遭遇。3日間に及ぶ壮絶な死闘を繰り広げることに。その後も海は、度重なる試練を老人に与える。カジキとの闘いはいつしか大自然との、そして老人自身との闘いへと至るのだった。虚飾を排し、簡潔な口語体で語られる老人の生きる姿は、どこか神話的な崇高さに満ちている。そんな『老人と海』が読者にもたらす啓示は、本作に出会うタイミングによって人さまざまだろう。本作は迷いの中にある青年を北極星のように導くだろうし、諦念の中にある壮年の心には、再び火をともすはずだ。ヘミングウェイは本作で1953年のピューリッツァー賞、1954年のノーベル文学賞をそれぞれ受賞した。