谷崎潤一郎「蘆刈」
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- 9,99 €
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Beschreibung des Verlags
能の「蘆刈」をモチーフの一つとした作品で、父親の耽美的で性愛的なエピソードが、当時子どもだったある老人を通して語られる。
冒頭に詩歌を置き、物語の前半は、古典を元に昔の日本を懐古する「わたし」の、紀行的な文体が続く。
それは実際に谷崎が住んでいた関西の風景が描かれており、語り手は谷崎自身を思わせ、情緒的な表現が印象的である。
そうして昔を懐かしむ「わたし」の前にある老人が現れ、後半はその老人が語り手となって物語が進んでいく。
当時の谷崎が関心を持っていた歴史物として描かれた作品「乱菊物語」や「吉野葛」、「盲目物語」などは、時代は違えどマゾヒズムや残虐性、女性崇拝などが描かれてきた。
この作品でもまた、老人の語りによって女性賛美が描かれている。
また、この作品に登場する「遊さん」は、谷崎の3人目の妻・松子夫人がモデルとされている。
谷崎潤一郎
1886年(明治19年)東京日本橋で生まれる。家業が傾き、住み込みで書生となり家庭教師をしながら学業に専念。1908年に東京帝国大学国文科に入学。1910年大貫晶川、小泉鉄らと第2次『新思潮』を創刊、『誕生』や『刺青』などを発表。1911年授業料未納のため退学。1915年 石川千代と結婚、1930年離婚。関東大震災後は関西へ移住し『吉野葛』『春琴抄』を発表。
1931年 古川丁未子と結婚、1934年離婚。1935年森田松子と結婚。1959年 右手に麻痺症状が出て、口述筆記にり執筆。1965年79歳で死去。