東の国より
Out of the East
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- 3,49 €
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Beschreibung des Verlags
ラフカディオ・ハーン(1850-1904)の作品。ハーンは1891(明治24)年11月から27年11月まで熊本五高で教えた。本書は、熊本及び九州各地における見聞、紀行、随筆がその内容の大部分をなしている。「夏の日の夢」は1893(明治26)年7月20日、単身海路長崎に旅し、帰途三角という港の浦島屋で朝食を取り、浦島の伝説に思いを馳せた随筆の名篇である。「九州学生」は松江時代の「英語教師の日記から」に該当するもので九州学生の気質特徴を述べている。「柔術」はハーンの柔道論で外国人の書いた柔道論の最も古いものと思われる。
巻末の「勇子―追憶記」の章は、大津事件の際、京都府庁の前で壮烈な自害を遂げ、犯人津田三蔵の犯した罪に死をもって詫びた無名の一女性(後に遺書で千葉生れの畠山勇子と判明した)に深く同情し、勇子の死の直後の心理と行動を、当時ハーンは勇子について全く知らなかったのであるが想像から小説化して書いた。後、再び取り上げ、「仏の畠の落穂集」中に勇子の墓参について書いている。哀れなもの、無力なものへの同情という作者の態度と日本観がここにもよくあらわれている。