和辻哲郎「古寺巡礼(三)」
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Publisher Description
この書は大正7年春、和辻が二三の友人とともに奈良付近の古寺を巡ったときの印象記ですが、仏像、仏閣等の古美術への批評を加えた古典的な名著として知られています。震災、戦災により絶版となりましたが、復刊の要望は強く、戦後直後に改訂版が発刊されました。 「若き情熱によって書いたために幼稚な部分もある」として何度も手を入れようとしながら30年近くが経ってしまったとのことで、「この書の取り柄が若い情熱にあるとすれば、それは幼稚であることと不可分である。幼稚であったからこそあのころはあのような空想にふけることができたのである。今はどれほど努力してみたところで、あのころのような自由な想像力の飛翔にめぐまれることはない。そう考えると、三十年前に古美術から受けた深い感銘や、それに刺激されたさまざまの関心は、そのまま大切に保存しなくてはならないということになる。こういう方針のもとに著者は自由に旧版に手を加えてこの改訂版を作った」と書いていますが、情熱を滲ませた初版への評価も今もなお存在します。本書は、絶版中に、「近く出征する身で生還は保し難い、ついては一期の思い出に奈良を訪れるからぜひあの書を手に入れたい、という申し入れもかなりの数に達した。」とあるように、当時の日本人の琴線に触れるものだったと思われます。 第三巻は、「十五 唐僧鑑真等」~「二十四 夢殿等」を収録。