【朗読音声付】白痴
-
- $0.99
-
- $0.99
Publisher Description
●プロのナレーターによる朗読音声付書籍
戦時下という過酷な環境の中、あぶり出される人間の本性。
人間とはどのような生き物なのか。そしてどのように生きていくべきなのか。
舞台は戦時下の東京──
ある日、伊沢は帰宅してみると、押入れの中に、隣家に暮らす白痴の女が隠れていることに気づく。そして困惑しつつもその白痴の女を自分の家に囲うことに…。
迫り来る米軍機。空襲──
どのような状況下にあっても、人は生きていくかぎり、孤独と肉欲の螺旋から逃れることはできない。人は他者と真の意味で理解し合うことはできるのか…?
爆撃により炎に包まれる街。その中を白痴の女とともに逃げまわる。女を置いて立去ることもできたが、それすらも面倒く感じる。人が物を捨てるには、たとえば紙屑を捨てるにしても、捨てるだけの張合いと潔癖ぐらいはあるだろう。白痴の女に対し、微塵の愛情もなかったし、未練もなかったが、捨てるだけの張合いもなかった…。
たとえば女を捨ててみても、どこかの場所に何か希望があるのだろうか。何をたよりに生きるのだろうか…。人は、なんと愚かで、そしてなんともの悲しい生き物なのか。
しかし、それでも人は生きていかねばならない。