銭形平次捕物控 人肌地‪蔵‬

卓越した推理力と正義の投げ銭が悪党を退治する痛快時代小説!


庚申塚の少し手前、黒木長者の厳しい土塀の外には、時代も素性も

知れない一基の地蔵尊が祀られている。雨ざらしで鼻も耳も欠け、

涎掛けの寄進に付く者もないような哀れな有様。


ところが、何時からかこの冷たい地蔵尊が人間の肌のように生温かく

なっているという。はじめは村の子供たちのいたずらかと思われて

いたが、地蔵尊に上げ置いた青銭や鐚銭が一夜のうちにピカピカする

一分金や板銀に変わるという噂も伝わり、騒ぎは大きくなる。


そんな折、黒木長者の蔵が破られ、千両箱3箱が盗まれる事件が発生

する。地蔵尊に起こった出来事と何か関連があるのか――。