「押絵と旅する男」 - wisの朗読シリーズ(49)
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Beschreibung des Verlags
蜃気楼を見に魚津に出かけた帰り、誰もいない汽車の中で、魔術師のような不気味な風采の男が、何やら異様な扁平な荷物を持って坐っていた。彼に引き寄せられるようにすぐ前に坐ったところ、見せられたのは巧緻を極めた押絵であった。
描かれた男女は、まるで生きているかのようだ。
いや、実際絵の中で生きていた!
古風な洋服の白髪男にしなだれかかった肉体が生気を放つ縮緬姿の美しい娘の取り合わせ・・・。
幸せそうな女に比して、男は多くの皺の底で苦悶の相を浮かべている。
汽車の男が語るその異様な事情とは・・・。
(C)wis