燃ゆる‪頬‬

青年同士の淡い恋と心の移り変わりを描いた堀辰雄の短編小説。堀自身も学生時代、寄宿舎で生活していた経験がある。

高等学校に入ったばかりの私は、寄宿舎で生活している。一部屋に十人程度の生徒が一緒に生活していて、ドイツ語の勉強をしている者、煙草ばかり吸っている者、ほかにも色々な生徒がいた。

私は彼らの中で一番小さかったので、仲間外れにされないよう常に背伸びをしながら生活しているような状態であった。


5月になると、私は三枝という同級生に出会う。彼は私よりひとつだけ年上だったが、痩せた身体に薔薇色の頬を持っている美しい少年だった……。