戦争の記憶004
中村房江
Beschreibung des Verlags
早川洋平氏が主導する「戦争の記憶」プロジェクトは、第二次世界大戦の生存者たちの肉声を記録として残すためのものです。終戦から70年以上が経ち、戦争を生き抜いた方々の数は、年々、減り続けています。それこそ早川氏が彼らの肉声の記録を決意した理由であり、このプロジェクトは、特定の団体を支持・支援したり、思想を煽動したりするものではありません。
昭和20年(1945年)、広島県呉市の空襲で母と幼い妹を喪った中村房江さんは、焼夷弾の直撃を受けながらも、近くにいた大人によって川に運ばれて一命をとりとめた。その後、父と姉と逃げ延びた先、母の故郷の四国・伊予長浜でも空襲に遭い、戦争に翻弄される。戦後、父の再婚相手が美容師であったことから自身もその道に進み、以来60年、美容師として生計を立ててきた中村さん。複雑な家庭環境のため、時に涙を流しながらも、戦後の中村さんを支えてくれたのは、美容師という職業だった。