谷崎潤一郎「少年」
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Beschreibung des Verlags
当時小学校四年生だった「萩原の栄ちゃん」こと「私」は、大きなお屋敷に住む同級生の富豪の子、「信一」の家に遊びに行くことになった。
意気地なしで気弱なはずの信一は、学校での姿とは打って変わって支配的であり、その落差にただただ驚くばかりの「私」。
少女のような美しさを併せ持つ信一は、姉の「光子」や年上の餓鬼大将「仙吉」を虐げる存在だったのだ。
初めこそ信一はそのような立場であったが、やがて形勢は逆転し、光子の支配下に置かれるようになる少年たち。
美しい文体で表現される戯れは、妖しげで官能的でもあり、無邪気さゆえの残酷で危うげな世界を映し出す。
谷崎が一躍有名になるきっかけとなった本作を、ぜひお楽しみください。
谷崎潤一郎
1886年(明治19年)東京日本橋で生まれる。家業が傾き、住み込みで書生となり家庭教師をしながら学業に専念。1908年に東京帝国大学国文科に入学。1910年大貫晶川、小泉鉄らと第2次『新思潮』を創刊、『誕生』や『刺青』などを発表。1911年授業料未納のため退学。1915年 石川千代と結婚、1930年離婚。関東大震災後は関西へ移住し『吉野葛』『春琴抄』を発表。
1931年 古川丁未子と結婚、1934年離婚。1935年森田松子と結婚。1959年 右手に麻痺症状が出て、口述筆記にり執筆。1965年79歳で死去。