舞‪姫‬

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Descripción editorial

森鴎外(本名林太郎)は、官人に対する医療や医薬全般、医師の養成などを司る典医の家に生まれました。

幼い頃から「論語」や「孟子」などの漢学書、オランダ語を学び、実年齢で習得するよりも早い段階ですでに高い学力を持っていたことで、周囲から将来を期待されて育ちました。


のちにドイツ語も習得し、東京大学医学部を卒業しました。
物書きになることを夢見ながら父の経営する病院を手伝い、陸軍省の軍医となりました。


ドイツ留学にて教養や見識を深め、帰国後、医学・文学両面においての革新のために活発に活動していきました。


軍医と作家という二つの道を歩んだ鴎外の仕事の業績は多岐に渡っており、文学活動としては翻訳・創作のほか、晩年には歴史研究による小説や史伝の執筆へと移行していきました。


現役の軍医として最高位の地位まで昇りつめ、生涯、文学上での弟子は持たなかった鴎外でしたが、彼を愛好し尊敬した作家に芥川龍之介や三島由紀夫などがいます。



<作品冒頭>


石炭をば早や積み果てつ。中等室の卓のほとりはいと静にて、熾熱燈の光の晴れがましきも徒なり。

今宵は夜毎にこゝに集ひ来る骨牌仲間も「ホテル」に宿りて、舟に残れるは余一人のみなれば。


五年前の事なりしが、平生の望足りて、洋行の官命を蒙り、このセイゴンの港まで来し頃は、目に見るもの、耳に聞くもの、一つとして新ならぬはなく、筆に任せて書き記しつる紀行文日ごとに幾千言をかなしけむ、当時の新聞に載せられて、世の人にもてはやされしかど、今日になりておもへば、穉き思想、身の程知らぬ放言、さらぬも尋常の動植金石、さては風俗などをさへ珍しげにしるしゝを、心ある人はいかにか見けむ。

こたびは途に上りしとき、日記ものせむとて買ひし冊子もまだ白紙のまゝなるは、独逸にて物学びせし間に、一種の「ニル、アドミラリイ」の気象をや養ひ得たりけむ、あらず、これには別に故あり。


げに東に還る今の我は、西に航せし昔の我ならず、学問こそ猶心に飽き足らぬところも多かれ、浮世のうきふしをも知りたり、人の心の頼みがたきは言ふも更なり、われとわが心さへ変り易きをも悟り得たり。きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写して誰にか見せむ。

これや日記の成らぬ縁故なる、あらず、これには別に故あり……。

GÉNERO
Ficción
NARRACIÓN
佐々木健
IDIOMA
JA
Japonés
DURACIÓN
00:56
h min
PUBLICADO
2022
11 de mayo
EDITORIAL
パンローリング株式会社
PRESENTADO POR
Audible.com
TAMAÑO
48,9
MB