親和力
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Publisher Description
(ゲーテについて)
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは一七四九年にドイツ中部フランクフルト・アム・マインの裕福な家庭に生まれました。詩人、劇作家、小説家でありまた自然科学者、政治家、法律家でもあります。
ドイツを代表する文豪であり、小説『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』『親和力』、叙事詩『ヘルマンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など広い分野で重要な作品を残しました。
その文学活動は大きく三つに分けられます。初期のゲーテはヘルダーに教えを受けたシュトゥルム・ウント・ドラングの代表的詩人であり、二十五歳の時に出版した『若きウェルテルの悩み』でヨーロッパ中にその文名を轟かせました。後年、『若きウェルテルの悩み』の愛読者であったナポレオンはゲーテを見るなり「ここに人有り!(Voila un homme!)」と叫び感動を表したという逸話が残っています。
その後ヴァイマル公国の宮廷顧問となりしばらく公務に没頭しますが、シュタイン夫人との恋愛やイタリアへの旅行などを経て古代の調和的な美に目覚めていき、『エグモント』『ヘルマンとドロテーア』『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』などを執筆、シラーとともにドイツ文学における古典主義時代を築いていきます。
シラーの死を経た晩年も創作意欲は衰えず、公務や自然科学研究を続けながら『親和力』『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』『西東詩集』など円熟した作品を残しました。大作『ファウスト』は二十代から死の直前まで書き継がれました。ほかに旅行記『イタリア紀行』、自伝『詩と真実』や、自然科学者として「植物変態論」『色彩論』などの著作を残しています。
また弟子のエッカーマンによる「ゲーテとの対話」は、この天才の実生活の中の言動を伝える貴重な資料となっていて大変興味深く、様々な示唆を与えてくれます。
(「親和力」について)
「親和力」は、もともとは『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』を構成する挿話の一つとして構想されました。一八〇八年の六月初めから七月末にかけて療養地カールスバートで第一稿が書き上げられ、しばらく原稿を寝かせた後、一八〇九年四月に再び着手され、イェーナで四ヶ月で完成させられました。表題「親和力」は化合物間での反応のしやすさを表す化学用語で、作品中で「大尉」とエドアルトの会話において言及されています。作品執筆の動機には、一八〇七年頃の、イェーナの書店の養女であった当時十八歳の少女ヴィルヘルミーネ(ミンナ)・ヘルツリープに対するゲーテの密かな愛があったと言われています。
(この本について)
この本は、實吉捷郎さんの訳した本を底本としていますが、特にひらがな表現を大幅に漢字に改めてあります。例えば
かれ → 彼
かの女 → 彼女
などが、代表的な例です。また、読点を大幅に削り、リズムよく読めるように工夫しました。しかし、原訳の格調高いトーンを崩さないように最大限注意を払いました。
また、章ごとのまとめをその章の始めに掲載して、スムーズに内容を把握できるように工夫してあります。
(古典教養文庫について)
古典教養文庫は、日本のみならず広く世界の古典を、電子書籍という形で広めようと言うプロジェクトです。以下のような特長があります。
1、古典として価値あるものだけを
これまで長く残って来たもの、これから長く読み継がれていくものだけを選んで出版します。
2、読みやすいレイアウト
文章のまとまりを、適切な改ページで区切って、iPhoneはもちろん、iPadやMacでの読書に最適化しました。また、作品の一編一編にも索引を付けましたので、目次から直接アクセスできます。
青空文庫をベースとしている場合も、適切に処理してありますので、そのまま青空文庫の物をダウンロードして読むよりも格段に読みやすくなっています。
3、美しい表紙
プロのデザイナーによる美しい表紙をつけました。書籍と関連づけられた美しい表紙で、実際の本を読むような感覚に浸れます。
4、スピーディーな改版
紙の本と違い、誤植の修正や改訂などすぐに対応でき、刻々と進化を続けます。