すみだ川 - wisの朗読シリーズ(3)
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発行者による作品情報
明治の耽美的作家、永井荷風が幼馴染お糸への恋心を、詩情豊かに描きます。
俳諧師松風庵蘿月は、小石川表町質屋の跡取り息子であったが、
風流三昧、勘当の末若隠居となり、今は俳諧で世を渡っている。
常磐津の師匠をする妹お豊。
その息子長吉。立派な月給取りにしたいと願うお豊と遊芸への思いを断ち切れずにいる長吉との間で、
蘿月は敢えて、辛抱しなさい、親孝行だと長吉を諭した。
芸者の道を選んだ幼馴染糸への思いが募る中、
情の深い蘿月叔父を頼った長吉であったが、
「若いものと大人との懸隔(けんかく)」を痛感し、絶望する…
一流の知識人の父母、上流の名家に生まれ、終生それに激しく反抗した荷風。
それは、社会へと文学へと貫かれていく――。
荷風自身が蘿月とも長吉とも重なる、西欧帰国の翌年、
荷風30歳に書かれた作品である。