なぜ稲盛和夫の経営哲学は、人を動かすのか?
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発行者による作品情報
※この作品は原著を要約したものです。
稲盛和夫氏と言えば、京都セラミック(現在の京セラ)と第二電電(後に2社と合併した現在のKDDI)の創業者であり、会社更生法が適用されたJALをわずか2年で立て直した経営者である。その経営の根底には、稲盛氏独自の経営哲学があることは広く知られている。
稲盛氏の経営哲学は思想や精神論に近いもののようにも感じられる。もちろん、京セラや第二電電で用いられていた、企業の人員を6~7人の小集団(アメーバ)に組織して時間当たり採算の最大化を図る「アメーバ経営」のような戦略的手法も考案・実践しているが、企業集団で取り組むすべてに関わることとして、働く人間はどうあるべきかということを稲盛氏は説き続けている。これが、その経営手法が「稲盛教」とも呼ばれるゆえんであろう。
そうした稲盛氏の経営哲学を脳科学と結び付けたのが本書である。経営者の名言の解説は、通常、精神論的であったり感情で理解したりするものが多いが、本書のように脳の働きとリンクさせると、「その考え方、行い方は正しい」という裏付けにもなり、非常に説得力がある。特に参考にしたいのは、上司の部下への接し方である。上司の立場にいる人であれば、部下のやる気や仕事の成果がふるわない原因がよくわかるだろう。逆に言えば、本書にある手法を参考にすれば、部下を成長させられるのだ。もちろん、そのためにはうわべの言葉だけでなく、心から部下に感謝したり、褒めたりしなければならないと稲盛氏は説く。やはり、最後は「心」が大事なのである。(原 ユキミ)(毎月第1水曜配信予定)