一の倉沢(小学館の名作文芸朗読‪)‬

【小学館の名作文芸朗読】

菱苅安夫は息子の安一郎が谷川岳で遭難したことを知り、深く動揺する。安夫自身もかつては熟練登山者でありながら、現在はただのサラリーマンに過ぎず、自分自身の無力さに直面して苦悩する。安夫は救助隊の準備と資金調達に奔走するが、過去の栄光と現在の不甲斐なさの狭間で葛藤が続く。息子を救出するため、安夫は救援隊よりも先に過酷な山岳ルートを進む決断をする。昔の感覚を信じて先に進んだが、体力の限界から動けなくなり、尾根近くの国境稜線が見える場所で固まってしまう。安夫に待ち受ける運命とは……。