人の顔
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発行者による作品情報
チエ子には奇妙な癖があった。空でも壁でも木の幹でも、様々な場所や物をじっと見つめていると、チエ子にはそこに人の顔が見えた。母親と夜道を歩いていたチエ子は星空を指差して、父親の顔があると言った。それを聞いた母親は、チエ子を気味悪がってあまり可愛がらなくなっていった。その後、長い間航海から帰ってきた父親と二人で、チエ子は活動(活動写真)を見に出かけた。その帰り道、チエ子は夜空を指差して母親の顔があると言ったが、上機嫌だった父親は可愛い子どもの話を微笑ましく聞いていた。しかしチエ子には、母親の顔の隣に父ではない別の人間の顔が見えた…