吾輩は猫である(3)-Wisの朗読シリーズ(52)
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発行者による作品情報
猫は、世間から少し注目され始めた。吉備団子が手紙とともに届いたり写真の所望もある。さて、猫のご主人、苦沙弥先生は日曜日の午後、書斎から出て来て硯と原稿用紙を前に何やら唸っている。やがて、迷亭が案内も乞わずにずかずかあがってくる。寒月君(注:寺田寅彦がモデルといわれる)が物理学の演説があるので、その練習を苦沙弥先生と一緒に聞くために呼んだのだという。しばらくすると女客がくる。角屋敷の西洋館に住み、気位の高い金田夫人だ。鼻がばかに目立つ。二人は鼻子と呼ぶことにした。鼻子は、娘のお相手として寒月君がどうかと思い、その人となり、動静を探りにきたのだ。鼻子は二人の失敬な応答ぶりに内心怒りながらも、一通り聞き出して帰っていった。二人も鼻子の高慢ぶりには辟易だ。そこへ寒月君が来る。肝心の物理学の演説練習はどこかに飛んでしまい、迷亭君が、鼻子を題材に「美学上の見地からする鼻の研究」なる演説をやり出した・・・・。(C)wis。