夢十夜 第十夜(日本近代文学名作選(53))
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発行者による作品情報
【日本近代文学名作選(53)】
夏目漱石(慶応3年 - 大正5年)による短編小説
「庄太郎が女に攫われてから七日目の晩にふらりと帰って来て、急に熱が出てどっと、床に就いていると云って健さんが知らせに来た。庄太郎は町内一の好男子で、至極善良な正直者である。ただ一つの道楽がある。パナマの帽子を被って、夕方になると水菓子屋の店先へ腰をかけて、往来の女の顔を眺めている。そうしてしきりに感心している。そのほかにはこれと云うほどの特色もない。あまり女が通らない時は、往来を見ないで水菓子を見ている。水菓子にはいろいろある。水蜜桃や、林檎や、枇杷や、」ーー
朗読:長尾奈奈
企画/制作:声の書店
協力:株式会社 仕事
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