大幅円安になる10年後の日本―膨大な政府債務と少子高齢化の末路
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発行者による作品情報
林謙二氏は日本債権信用銀行やドイツ銀証券などで勤務した後、現在は金融教育会社の社長として金融工学の教育・コンサルタント業務で活動しています。冒頭、著名な経済学者である森嶋通夫氏(故人)が1999年に著した「なぜ日本は没落するか」を紹介。森嶋氏はこの本で日本の没落を2050年と予測し、その原因として政治の貧困と教育の荒廃を指摘しているという。当時これに反論した元東大教授の小宮隆太郎氏との論争は有名だが、小宮氏は近年、人口減少などを理由に「亡国の兆しは放置してはならない」と語るなど森嶋説を追認する方向に変化していると林氏はみる。さて本題の大幅円安論について林氏の論拠は明快。2019年までに政府債務残高は家計金融資産を上回り、日本国債の販売を海外投資家に依存せざるを得なくなる。そうなれば従来のような超低金利の発行は難しい。逆に金利が上昇すれば為替も財政悪化懸念から大幅な円安になり、さらに2010年代には経常収支が恒常的赤字に転落、円安が加速して1ドル200円台に下落する、と分析した。また少子高齢化が2025年を越えると益々顕著になるため日本のGDPが恒常的にマイナス成長となり「この時点で円相場は1ドル300円を越える」とのシナリオを描く。要約すれば巨額の政府債務、経常収支の悪化、少子高齢化による労働人口減少でGDPが恒常的マイナス成長の3大要素が将来の大幅円安を招くとの論拠を示した。