或る夜の武田麟太郎(小学館の名作文芸朗読)
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発行者による作品情報
【小学館の名作文芸朗読】
『レ・ミゼラブル』『ジャン・クリストフ』などの翻訳で知られ、大正期に活動した豊島与志雄が作家仲間について綴る随筆。日華事変前頃まで、私は終夜営業の「小林」でしばしば武田麟太郎に出会った。深夜、馬肉の鍋に差し向かい、稀薄な酒を相手にぼんやりしていた。互いに顔を合わせてもやあと言うきり、あまり話をするでもない。ところが、ある夜、私がらっきょうを食べていると、武田が突然笑い出したのだ。