「深川の唄/鐘の声」 - wisの朗読シリーズ(40)
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発行者による作品情報
大人気、Wisの朗読シリーズ第40弾は「深川の唄/鐘の声」です。
明治末年、外遊から帰国した直後の短編『深川の唄』。
12月某日、行く当てもなく築地両国行きの市電に乗った。
次第に混んできて、喧騒に満ちる。
新富町を過ぎたところで停電で電車が止まった。
下車した往来で、不揃いの西洋造りや電線、ペンキ塗り広告に憤然とする。
ふと、深川に行こうと思った。
日本を去るまで、深川はあらゆる自分の趣味、恍惚、悲しみ、悦びの感激を満足させてくれた所だった。
自分の心はたちまち10年前の懐かしい昔に立ち返った。
ふと見ると、西の大空一帯には、沈む夕日が生血の滴る如く燃えている。
自分は、いつまでも、暮れゆくこの深川の夕日を浴び、盲人が歌う端唄を聴いていたいと思った。
『鐘の声』は、麻布の古家に響いてくる鐘の音の情緒を描く一編。