源氏物語 第六帖 末摘花
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発行者による作品情報
多様な人物たちの織り成す複雑な心理描写を、分かりやすく情感豊かに読み上げました。またそれぞれの帖の冒頭では翻訳者の与謝野晶子が、その帖の内容を一首の歌にして見事に表現しています。源氏物語は、紫式部によって書かれた全五十四帖から成る長編小説。期間にして74年、四代の天皇の御代に渡る壮大な物語であり、その文章の構成や美しさ、人物の心理描写の面などからも、日本の文学史上最古にして最高傑作とも言われています。源氏物語 第六帖 末摘花(すえつむはな) -源氏は夕顔のことが忘れられずにいた。思いをよせる藤壺の宮ともままならず、正妻「葵の上」との関係も相変わらずぎくしゃくしていた。そうありながらも、源氏は懲りもせずにあのような恋人を見つけたいと聞き耳を立てていた。そんな折、大輔の命婦という女房から亡き常陸宮の姫君の噂を耳にした。好奇心を抱いた源氏は、親友の頭中将と競い合って求愛した末に、姫君との逢瀬を果たす。しかし無口で覚束ない姫君の対応に源氏は困惑した。ある日、雪明りの中で姫君の容貌を見た源氏は、あまりの醜さに驚嘆した。その鼻は、末摘花のように長く赤い鼻であった。容姿の醜さに加えて、世間知らずな言動の数々を不憫に思った源氏は、見捨てられないという気持ちもあって、一生の生活の面倒を見ることを決心した。一方、二条院の若紫は、日ごとに成長し美しさを増していった。