葉桜と魔笛
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発行者による作品情報
太宰治(明治42年 - 昭和23年)による短編小説『葉桜と魔笛』
「桜が散って、このように葉桜のころになれば、私は、きっと思い出します。――と、その老夫人は物語る。――いまから三十五年まえ、父はその頃まだ存命中でございまして、私の一家、と言いましても、母はその七年まえ私が十三のときに、もう他界なされて、あとは、父と、私と妹と三人きりの家庭でございましたが、」――
初出 昭和14年(1939)「若草」6月号
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