蜜柑
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- ¥560
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発行者による作品情報
明治の文豪・芥川龍之介のうつくしい短編です。大正8年、発表当時、文壇で高評価された、龍之介の名文のひとつです。車中でのちいさなできごとに、主人公であるらしき龍之介がひじょうな感銘を受け、「私はこの時始めて、云ひやうのない疲労と倦怠とを、さうして又不可解な、下等な、退屈な人生を僅に忘れる事が出来たのである。」と述べています。 「ことのは出版オーディオブック作品一覧はhttp://www.kotonoha.co.jpにて」
カスタマーレビュー
Donguri
、
表現の為の言葉・音
芥川の場合、心理描写や磨かれた文章に対する賞賛が多い。
この短編は、心理描写の優れたところもなく、ストーリの展開も途中でおおよそ想像できる。
しかし、文章を音読した時の音の流れは、一方に泉鏡花をおくなら、もう一方は芥川龍之介である、とてもすばらしい。
芥川の名品は名品で少しの輝きも褪せないが、このような小品にもまるで映画を見ているような稠密な描写を堪能できる。