超訳 モンテーニュ 中庸の教え
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発行者による作品情報
モンテーニュが『エセー』を書いてくれたことで、
地上に生きる喜びは大きなものになった。
――――ニーチェ
デカルト、パスカル、ルソー、アランなど世界の哲学者に影響をあたえた名著ついに超訳で登場。
『エセー』で知られる哲学者モンテーニュは、フランス史上最大の混乱期に生きた人です。
国内はカトリックとプロテスタントに分裂し、そこに権力闘争が滑り込み、フランスは稀に見る無秩序に叩き込まれました。
モンテーニュは、混迷極まるこの時代に、公人として「奮戦」しました。
彼が思想家と呼ばれるのは、学者だったからではなく、『エセー』という書物を残したからです。
モンテーニュはモラリストの始祖とも呼ばれます。
体系的な思想を形成しなかったので、彼の名が哲学史の教科書に出てくることはありませんが、
世に名高い数々の大哲学者たちが『エセー』を読んでいるのは周知のところです。
パスカル、ルソー、日本では西田幾多郎、そして、ニーチェ。
『エセー』の中で、モンテーニュが思索し続けたテーマには、
「死ぬ」「生きる」「判断力」「無常」「無知」「自然」などがあります。
そして、どのテーマについても答えを出すことはありません。
自分の思索の巡り合わせを、ただ記述していきます。
ですから、彼の言葉は、命じるのではなく、私たちに示唆を与えるにとどまります。
ここもまた、彼の魅力の一つです。
モンテーニュは決して、自らを地上から乖離させません。
あけすけに自らを暴露します。
「結婚には向かないんだよな」「結石って痛いよね」「ハゲでなにか?」
「死に方なんてわからんわい」「楽しくないことはしたくないね」「怒鳴ってしまうこともあるわな」等々……。
きっと、モンテーニュが記述する数々の姿を、あなた自身にも見出せることでしょう。
モンテーニュの卓抜した洞察力は、私たちがぶつかっている問題を予知しています。
「多様性」「知識(情報)」はその最たるものでしょう。
「多様性というなら、自分が一番多様(定め無い)じゃない?」
「知識に使われるな! 知識を活かせないなら、そんなもの捨ててしまおう」
「中庸」に対する思索もまた、抜群のバランス感覚の賜物です。
「断定はしない。ただ私はそう思うだけだ」「徳は断崖絶壁の頂に据えるものじゃない」
「六…