「鏡地獄」 - wisの朗読シリーズ(48)
-
- ¥407
-
- ¥407
発行者による作品情報
彼は、小さい時から、物の姿が映るレンズや鏡に不思議な嗜好を持っていたが、中学に進み、それは凹面鏡への異常な興味へと際立っていった。彼の病的関心は、両親の莫大な遺産を受け継いで以降ますます昂じ、思うがままに異様な実験を繰り返すようになる。
ニキビの先端がザクロのように血が滲みでている様子を拡大してみたり、紙幣の像を中空に浮かばせて遊んだり、種々の鏡やレンズを使って、潰された蚤の断末魔の形相や、部屋いっぱいに蠢く不気味な人の顔などを映し出したり――どれもこれもぞっとするものばかりだった。
彼の異様な実験癖はもはや病的なものとなったが、そんなある日、彼の身に遂に異常が起こる・・・。
(C)wis