鐘の声(小学館の名作文芸朗読‪)‬

【小学館の名作文芸朗読】

代表作『あめりか物語』『ふらんす物語』『濹東綺譚』で知られ、明治期から昭和期に活動した小説家の随筆。二十年近く住む麻布の家の二階は、鐘の声が聞こえてくることがある。昭和七年の夏以来、世のありさまが変わるにつれて、明治の世には覚えたことのない響きを伝えるようになった。それは、忍辱と諦悟の道を説く静かな囁きだ。鐘の声を耳にする時、それを聴く最後の一人ではないかと心細い気がする。