関東大震災「見聞録」「修羅の巷に立つ」
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- ¥560
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発行者による作品情報
田中貢太郎の『見聞録』は、本所被服廠跡の数万人の焼死という大惨事に至るまでの経過や現場の悲惨な様子、「不逞の輩」が集団で爆弾で火をつけて回っているという流言蜚語による緊迫した警戒の様子などを描く貴重な実録。高山辰三の『修羅の巷に立つ』は、小石川からの帰りに激震に襲われ、危機一髪で難を逃れたものの、下町一体に燃え広がる火災に怯える緊迫した様子を描く。荷車で家財道具を目一杯運んでくる人々の混乱、上野松坂屋の大建物や帝大図書館の炎上、本所深川下谷方面はもちろん、日本橋、神田、本郷までも一面の焼け野原となった様子、その後の水と食料の確保の苦しみ、放火のデマへの怯えなど、貴重な証言。関連作品として、『大正12年関東大震災-作家たちの体験録八編』、寺田寅彦『津浪と人間、地震雑感、天災と国防他』との併聴をお勧めする。(C)2012響林社