マッシュルーム (1)
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- ¥700
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発行者による作品情報
「人間なんざ単なる獲物にすぎないんだよ」 20世紀末、南太平洋某所で製薬会社の資源調査チームが遭遇した、奇妙で凄惨な殺戮劇。時は流れ現代・東京。高校生・橘倫は、一家心中の舞台となったアパートを訪れた帰り、死んだはずの男とすれ違う……!! ノンストップ侵食ホラー、開幕――!!!
APPLE BOOKSのレビュー
新世代ホラー作家として注目を集める兄妹ユニット・小池ノクトによるSFサスペンスホラー「マッシュルーム (1)」。南太平洋で発見された新種の菌類・パンドーラの感染によって生み出された凶暴なモンスター、マッシュルームが引き起こすパニックを描く本作。予想を裏切る衝撃的な展開が次々と繰り出され、先の読めない恐怖とともに、少しずつ謎が明かされていく。読者を揺さぶりながらも、確実に引き込んでいく構成力は秀逸。閑静な住宅街で発生した不審な一家心中事件に端を発し、亡くなったはずの人間の蘇生、騒動に巻き込まれた主人公・橘倫と瓜二つの男による殺人事件、マッシュルームと戦う謎の少年の出現など、スリルと緊張感あふれるシーンの連続でストーリーを盛り上げる。天井をはいまわる人間など現実離れしたホラー描写も、登場人物たちの何気ない生活や風景を丁寧に描く著者の高い画力によって、日常に地続きのリアルな恐怖として実感することができる。序盤は世界観の説明が続くが、伏線もしっかりと張られているため、物語の行く末が気になり、新しいエピソードを次々と読みたくなる。