北の狩人
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発行者による作品情報
新宿に現れた謎の男は、すでに消滅した暴力団のことを尋ね回り、暴力沙汰を起こすものの、いつも無傷でいた。新宿の闇社会を知り尽くす新宿署刑事・佐江は彼をマークする。男の正体と目的が判明したとき、誰もが引き返せない命のやりとりに巻き込まれていた――! 「新宿鮫」シリーズと並ぶ緊迫感と感動を呼ぶ「狩人」シリーズ第1作。文庫上下巻を1巻にまとめ電子書籍化。もんでんあきこ作の人気コミック『雪人 YUKITO』原作!
APPLE BOOKSのレビュー
大沢在昌が『新宿鮫』とは別の視点から新宿を描いた、“狩人”シリーズの1作目。敵味方を超えて結ばれた男たちの友情と死闘は、壮絶なクライマックスまでとどまることを知らない。秋田から新宿にやって来た若者、梶雪人。10年前に消えた暴力団、田代組のことを聞き回るこの若者は、一見純朴なようでいて、裏社会の人間たちにすごまれてもおじけづかず、けんかも強い。マタギの祖父を持ち、狩人の血を引くという彼は一体何を仕留めようというのか? 街に波紋が広がる時、新宿署の中年刑事、佐江と田代組の元幹部の宮本も動きだす…。同じ新宿でも『新宿鮫』とは違う形で描くために、よそ者を主人公にしたキャラクター設定が絶妙。シリーズ後半では物語の主役となる新宿署の佐江が脇役に回り、主役はあくまで都会に帰属できないアウトサイダーの若者に。それが故に従来の暴力団や警察のルールは通用せず、犯罪社会のバランスが崩れていく。殺しが起こり、組織の跡目争いがあり、暴力団以上にしたたかな金貸しや中国マフィアが暗躍する。複雑なプロット、目の前で見ているようなアクション描写。まさに巻を措く能(あた)わず。