明日、私は誰かのカノジョ(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

依頼客から「彼女役」として男性の相手をする「彼女代行」をしながらお金を稼ぐ女子大生と、彼女たちを取り巻く男性たちとのリアルな恋愛を描いた、をのひなおの「明日、私は誰かのカノジョ」。第1巻は、女子大生の雪と、新社会人の壮太の出会いによって交錯するそれぞれの感情にフォーカスした物語。雪は、幼い頃に受けた心の傷と、顔に負った火傷のあとを隠しながら、可愛い女子大生としてさまざまな男性の「願望の彼女」として忠実に演じる日々を送っていた。ある日、壮太という新卒のサラリーマンから偽の彼女として友人の前で振舞ってもらいたいというレンタル予約が入る。いつものように彼女役をこなした雪だったが、翌日、顔の傷を隠していない素顔のままで彼と偶然出会ってしまう…。幸せな家庭で不自由なく育った純粋で優しい壮太と、愛を知らずお金以外信じることができない雪の、相反する二つの価値観。"愛情"という不確かな存在に人間としての生きる意味を求めて渇望する人々、そしてそれを利用しようとする人々。彼・彼女たちが織りなすビターなラブストーリーを描きながら、多様な人間模様の中に広がる現代社会の闇を垣間見せる作品。