いつかまた昔のように
ウサギ部へようこそ
-
- ¥200
-
- ¥200
発行者による作品情報
■内容
主人公の僕(中二女子)は、母の仕事の都合で辺鄙な田舎の中学校に転向し、そこで上田マチ子と出逢う。マチ子からウサギ部へ勧誘され、僕の反抗期と重なって、僕もウサギの耳をつけて踊りの練習を始めるが、練習場の図書館で、母も関係している東北ドリームランドの裏のカラクリを聞いてしまう。僕は田舎の自然が破壊されてしまう事を恐れ、妨害を画策するが、土壇場で母の立場を考え失敗させてしまう。ウサギ部は廃部となり、マチ子とも疎遠になるが、ある日、工事現場でウサギの耳をつけたマチ子が発見されて――。
僕は一週間家でなき続けた。その間にドリームランド計画は中止になっていた。人見御供になったウサギの伝説が少しは影響していたのかもしれない。
それから幾つも年月を経て、僕には小六の子供がいた。子供は物置で古いウサギの耳を見つけて聞いてくる。「昔、ウサギ人だったの。そしてお父さんと逢って――。」マチ子との、あの唯一無二の時間を思い出し、僕はウサギのダンスの唄をくちずさんでいたのだ。
■著者プロフィール
工藤不羅(くどうふら)
奈良県出身、大阪府立大学経済学部卒業。5年間趣味で個人映画を制作するが、母親介護のため外出困難で、2011年より脳内散歩として小説を試作。小説は、ダークファンタジーを得意とする。