おごそかな渇き
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「現代の聖書」として世に問いたいという思いから構想を練りつつも、山本周五郎が急逝したために絶筆となった作品。
舞台は、福井県の山間の寒村。かねてより村に蔓延る宗教対立が、新たな水源の発見によりさらに深刻化していく。
そんな村に、竹中啓吉と14歳になる娘のりつ子が東京から移り住む。
ある日、過酷な山越えで行き倒れ寸前の青年、松山隆二と出会った竹中は彼の世話をすることに。いがみ合う村人に失望する竹中と人間はぶつかり合うものだと考える松山。その先に待っているものは……。
近代化の波に揺れる日本の伝統的な農村を舞台に、宗教とは、人間とは、という根源的な問いかけが浮き彫りになっていく、未完の大作。
この作品には、昨今では不適切として受け取られる可能性のある表現が含まれますが、当時の時代背景、表現およびオリジナリティを尊重し、そのままの形で作品を公開します。