おんなのいえ(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

結婚適齢期の独身女性なら誰もが一度は経験するような、そんなモラトリアムの季節をリアルに描いた作品。このままではだめだと分かっていても、人生はそう簡単にリセットできない。同棲していた恋人に振られた有香は、母親の命令で妹のすみ香と東京で共同生活を送ることに。気心の知れた家族ではあるけれど、女と女の生活は時にややこしく、時に何物にも代えがたいほど温かい。姉妹の微妙なライバル関係や、実家の母とのちょっとぎこちない距離感など、女同士の“あるある”が詰まっていて身につまされる物語だ。クールな線で描き出されるひょうひょうとしたキャラクターとは対照的に、ごちゃっとした生活感がにじみ出る背景の描き込みも楽しい。