さよなら凱旋門
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- ¥2,200
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発行者による作品情報
サラブレッド大河ロマン小説
現代→1916年。日本人騎手が「蹄鉄」に転生!
フランスの凱旋門賞に出場した日本人騎手・藤晩夏は、レース中の落雷で異世界に転生してしまう!口の悪い「蹄鉄」になった晩夏は、アラブ系の少年アリーの相棒として、ロンドン郊外からアメリカのケンタッキーへ、馬たちの成長を見守ることになった……。愛と裏切りと、狂気と堕落と執念と。さまざまな苦難と対峙して、世界的な名馬たちの誕生から、悲劇的な死に至るまで、アリーと晩夏は時代を走り抜ける。サラブレッドロマンあふれる大河小説!
APPLE BOOKSのレビュー
デビュー作『待ってよ』でその名を広めた蜂須賀敬明が、SFとミステリーを巧みに融合させた競馬小説。2005年、世界の名馬だけが出走できるフランスの凱旋門賞。日本馬であるブリーズクロニクルに騎乗する騎手、藤晩夏(ふじばんか)はレース中に落雷に遭い、1916年のロンドン郊外にタイムスリップし、厩舎(きゅうしゃ)で働く少年アリーが持つ「蹄鉄(ていてつ)」に転生してしまう。一見、奇抜に見える物語の軸となるのは、競馬の重要な要素である“血統”が紡ぐ名馬たちの数奇な運命、そして、関わる人間たちの成長と愛憎の骨太なドラマだ。共に多くの時間を過ごし、時に衝突しながらも絆を深めていく競走馬と人間たちの姿は、とても純粋で美しい。しかし、一つのけががサラブレッドのレースキャリアだけではなく、命さえも奪ってしまう厳しい競馬の世界。だからこそ際立つ名馬たちの一瞬の輝きや、挫折を味わっても前を向く登場人物の心情を丁寧に描き、競馬になじみのない読者も一気に引き込む手腕が見事。なぜ晩夏は蹄鉄となってアリーと出会ったのか、伏線が複雑に絡み合う怒涛(どとう)の展開は、最終コーナーを曲がってクライマックスを迎える。ぜひ、その興奮を味わってほしい。