しずくと祈り 「人影の石」の真実
-
- ¥1,400
-
- ¥1,400
発行者による作品情報
原爆投下後、石段に焼きついた人影の真実。
広島平和記念資料館に展示されている「人影の石」。
それは、原爆の強烈な熱線で石段に残された黒い影。
これはだれの影なのか?
その人はどうしてそこにいたのか?
原爆投下の後、その人はどうなったのか?
「人影」がだれのものなのか、どうしてこのような形で残ったのか、当時の目撃情報、遺体を収容した兵士の証言などから解き明かす、真実をたずねて伝える物語です。
APPLE BOOKSのレビュー
広島平和記念資料館に展示された「人影の石」。原爆で被爆した人の影が焼き付いた跡だといわれているが、それが誰だったのかは今なお特定されていない。しかし資料館では一時期、その影の主は「越智ミツノ」さんであると説明が記されていた。本書は、子どもの頃から「越智ミツノ」さんの話を聞いていた筆者が取材を重ね、史実を参照しながら創作した歴史小説。1945年から2025年という80年の歳月を通して、4世代の人々の物語を紡ぐ。原爆が投下されたその日、人々はどんな生活をして、どんな会話を交わしていたのか。生死すら分からない家族を待つ人は、戦後の日々をどう生きたのか。なぜ資料館の「越智ミツノ」さんであるという説明書きはなくなったのか。数々の証言や資料を基に「人影の石」の真実を探し求める物語は、広島に生まれた人々が過ごしたささやかな日常の風景を通して、原爆が残したあまりにも大きな爪痕を浮き彫りにする。戦争の記憶が薄れゆく現代において、戦後を生きた各世代の戦争観を映し出す作品としても大きな意義を持つ。