しょっぱい夕陽
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- ¥690
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発行者による作品情報
酸いも甘いも知っているのが40代。けれど、自分のことはおぼつかないものである……。妻に浮気されていた男。息子のサッカーチームのママ友になじめない女。駄じゃれがやめられない離婚された男に、落語家に妄想恋愛する女。そして勘違いで幸せな教師男。いくつになっても迷える大人たちのほろ苦い、けれど甘酸っぱい5つの奮闘。まだまだこれから何かができる。そう思わされる心に優しい短編集。
カスタマーレビュー
Word Vessel
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リトル・ハッピーエンド
作家としての神田茜さんのことは、埼玉県にある某私立中学校の国語の入試問題で知りました。引用されていた作品は『クリームシチュー』(小説すばる2017年4月掲載)です。本短編集に収録されている作品は、「エフの壁」「肉巻きの力」「バナナの印」「もえぎの恋」「かみふぶきの空」の4篇です。個人的には、パートタイムで保育士をしている女性の職場での葛藤と報われぬ恋心を描いた「もえぎの恋」が好きです。生きづらい世を、どう生きるか?意外にも救いの手を差し伸べてくれるのは、普段気にもとめない身近な隣人や職場の同僚なのかもしれない、そんな感想を抱きました。どの作品もリトル・ハッピーエンドな結末です。人生辛くても生きていて損はないよ、プラスマイナスゼロで人間は幸福なんだよ、というメッセージのようにも受け取れました。