それは誠
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- ¥1,800
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発行者による作品情報
第169回芥川賞候補作に選ばれた、
いま最も期待を集める作家の最新中編小説。
修学旅行で東京を訪れた高校生たちが、コースを外れた小さな冒険を試みる。
その一日の、なにげない会話や出来事から、生の輝きが浮かび上がり、
えも言われぬ感動がこみ上げる名編。
APPLE BOOKSのレビュー
本作で4度目の芥川賞候補作に選ばれた乗代雄介による青春小説。自称平凡な高校生の佐田は、東京への修学旅行の班分けが行われる日に学校を休むが、翌日自分が所属することになった班のメンバーを知り驚く。スクールカーストで上位に位置するサッカー部の大日向、秀才で生真面目な蔵並、吃音(きつおん)がある風変わりな松。少し天然なところのある班長の井上、みんなに一目置かれている小川、そして人の良いおっとりタイプの畠中。どうしてその組み合わせになったのか分からないちぐはぐなメンバーで自由行動の予定を決めることになるが、佐田は都心から離れた日野に行きたいと考えていた。最初はあきれていたメンバーたちだが、その理由を知り彼の好きにさせることに。佐田による修学旅行の思い出を整理するための忘備録という形で描かれた、高校生たちの小さな冒険譚。もどかしさと青臭さがこぼれんばかりの文体からは、その年頃ならではの繊細な人間関係と何げない行動や会話がもたらす波紋が浮き彫りになっている。これぞ青春と言いたくなるような、きらめきに満ちた一冊だ。