それまでの明日
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4.1 • 12件の評価
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- ¥950
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発行者による作品情報
私立探偵・沢崎のもとに望月皓一と名乗る金融会社の支店長が現われ、料亭の女将の身辺調査をしてほしいという。が、女将は既に亡くなっており、顔立ちの似た妹が跡を継いでいた。調査対象は女将か、それとも妹か? さらに当の依頼人が忽然と姿を消し、沢崎はいつしか金融絡みの事件の渦中に。「伝説の男」の復活に読書界が沸いたシリーズ長篇第5作。文庫化に際し14年間の沈黙と執筆の裏側を語る「著者あとがき」を付記(電子書籍版にも収録)。
APPLE BOOKSのレビュー
原 尞によるハードボイルド小説、"私立探偵・沢崎シリーズ"の14年ぶりとなる続編「それまでの明日」。消費者金融の支店長・望月から沢崎に舞い込んだ依頼は、不可思議な方向へと発展。望月の職場での強盗事件に端を発し、次々と起こる金融に関連した事件に主人公は挑んでいくことになる。シリーズでおなじみの沢崎のクールなキャラクターは本作でも健在。直情径行でタフな性格、携帯電話も持たない古くからのスタイルを貫き、危機的状況でもウィットに富んだ言葉を忘れない。緻密なストーリーと共に展開する謎解き、読み手の心をつかむ名セリフや軽妙な会話の数々もさることながら、時代を超越したオールドヒーローが現代で活躍する、そんな意外性も含めて、極上のエンターテインメント作品として成立している。長年に渡り沢崎に魅せられてきた往年のファンを決して裏切らない、著者渾身の作品。