とちりの虫 とちりの虫

とちりの‪虫‬

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Publisher Description

昨年の春、中古のルノーを買って乗り始めてから、間もなく一年になるが、其の間に私は、交通違反でつかまった事が三回ある。その三回とも、奇妙な事に、友人の安岡章太郎が関係しており、これは私には、ただの偶然とはとても思えない。――阿川弘之

私が仕事にかかるふりをしていると、襖がすこしずつ開いて、その隙間から嘲けるような笑いをうかべて、彼はじっと窺っているのである。私もそっと彼の部屋をのぞくと、安岡は布団の上に寝そべって天井を眺めながら鼻毛をぬいているのであった。――遠藤周作

浪人三年、落第一年、秋風がふくと終わらない夏休みの宿題を想い出してゾッとする。出がけには必ず忘れものをし、約束の時間を一時間まちがえてウロウロ。泥棒に入られれば何も盗まれるものがなく警察に困惑され、文学賞の授賞式では緊張してシドロモドロになる。どうも自分の身体の中には一匹の虫が棲んでいて、それが自分を終始とちらせたり、失敗やへまをくり返させたりしているらしい――青春時代をユーモラスにつづる自伝的回想、作家仲間との楽しいやりとり、鋭さを笑いで包んだ社会観察など、著者の魅力が凝縮された随筆集。阿川弘之と遠藤周作によるエッセイを新たに収録。〈解説・中島京子〉

GENRE
Fiction & Literature
RELEASED
2018
July 25
LANGUAGE
JA
Japanese
LENGTH
320
Pages
PUBLISHER
中央公論新社
SELLER
Digital Publishing Initiatives Japan Co., Ltd.
SIZE
1.1
MB
ガラスの靴・悪い仲間 ガラスの靴・悪い仲間
1989
犬と歩けば 犬と歩けば
1986
海辺の光景ほか六編 海辺の光景ほか六編
1971
質屋の女房(新潮文庫) 質屋の女房(新潮文庫)
1966
夕陽の河岸 夕陽の河岸
1994
良友・悪友 良友・悪友
2016