どこへでもドアー
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発行者による作品情報
"どこへでもドアー"
この簡易転送装置とも呼ぶことも出来る技術体系を完成された科学者が"殻の中"と名乗る組織に拉致された。
この組織は世界中のテクノロジーや研究を監視し、イノベーションを起こすであろうと予想されるテクノロジーを関係者ごと"殻"と呼ばれる施設に隔離。
外界と遮断された中で思考実験や社会実験を繰り返した後、その発露と浸透を適宜プロデュースしていっているという。
殻の中で外界では目にしたことのないテクノロジーや社会制度に触れることではじめはその取り組みに懐疑的だった科学者も少しずつ理解を示していく。
この"どこへでもドアー"というテクノロジーは彼と病に伏した彼の妻との間にあった距離を縮めるために生み出されたもの。
しかしそれは全ての人の隔たりを無くすものであり、殻という外界と中とを隔てる存在と矛盾するものでもあった。
生み出したテクノロジーの意義と個人的な想いとの狭間で逡巡する科学者。
"ドアー"に改めて基幹技術を表した名前を授けながら彼は何を想う。