ねずみの初恋(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

殺し屋として育てられた女性とその恋人が紡ぐ、残酷な初恋の物語。悲惨な境遇からヤクザの暗殺者となったねずみ。孤独な彼女は青年、碧の愛に出会い変化するが、その蜜月は組織に引き裂かれる。碧の生存のため、ねずみが選んだのは碧を暗殺者にすることだった。「あまりにも残酷で切ない」とネットをにぎわせた話題作。ハードボイルドでリアルな殺しの描写と、ラブコメ風の作画や恋愛描写のアンバランスさが強烈で、経験したことのない余韻を残す。ヤクザをフィクションとして美化せず、絶対的悪として描く点には共感するのに、ねずみは悪なのか、と問われると判断が揺らいでしまいそうになる。スピード感のある展開から目が離せず、息をのんで読み進めてしまう。