ぼくには数字が風景に見える
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発行者による作品情報
小川洋子さん絶賛!「思慮深く、優しい声で、ダニエルは私たちにそっと教えてくれる。この世界は、生きるに値する場所である、と」。円周率22,500桁を暗唱、10ヵ国語を操る、サヴァン症候群でアスペルガー症候群の天才青年が「頭と心の中」を語る感動の手記。「ぼくはサヴァン症候群だ。サヴァン症候群というのは、ダスティン・ホフマン主演の映画『レインマン』がつくられるまで、世に知られていなかった」<本書より>
『博士の愛した数式』の小川洋子さん絶賛!
「思慮深く、優しい声で、ダニエルは私たちにそっと教えてくれる。この世界は、生きるに値する場所である、と」
ぼくが生まれたのは一九七九年の一月三十一日、水曜日。水曜日だとわかるのは、ぼくの頭のなかではその日が青い色をしているからだ。水曜日は、数字の9や諍いの声と同じようにいつも青い色をしている。―――<本書より>
ヒゲがうまく剃れない。右手と左手をうまく操るのが難しいから。
人の言葉が聞き取れない。雑音の混じったラジオを聞くように、意味がつかめないから。
代わりに、彼は数字のなかに風景を見ることができる。
円周率22,500桁を暗唱するとき、豊かな景色が彼に正解を教えてくれる。
新しい言語を覚えるとき、文字の色が彼に正解を教えてくれる。
サヴァン症候群とアスペルガー症候群、そして共感覚をもつ、言語と数学の天才青年ダニエル。
他人と違うゆえの「普通になれない」悩みと、それ自体を人と分かち合えない苦しみ。
思春期をこえて、大人になろうとする彼が選んだ「自立」とは。
ダニエルが「頭と心の中」を語る感動の手記。
解説:山登敬之(精神科医)
APPLE BOOKSのレビュー
アスペルガー症候群とサヴァン症候群である作者、ダニエル・タメットが自身の幼少期から現在までをつづった回想録『ぼくには数字が風景に見える』。アカデミー賞®を受賞した映画『レインマン』でダスティン・ホフマンが演じた主人公の設定で知られたサヴァン症候群は、計算や記憶、芸術などの分野で優れた才能を持つ人に多く見られるという。著者もまた、数学と語学の天才であり、数字の羅列が美しい風景に見える共感覚を持っている。しかし、人とのコミュニケーションを不得意とするアスペルガー症候群であることから、学生時代は孤独や苦痛を感じていたことも率直に描かれている。それでも、家族の愛情を受けながら、人と見える景色が違うこと、感じ方が違うことと向き合い、一歩ずつ自分のペースで自立し、夢を成し遂げていく姿に心が動かされる。本作は、2つの障がいがある著者自身がこの作品を執筆したことで、自閉症やアスペルガー症候群、サヴァン症候群の子どもたちを育てる親たちの希望となり、彼らをより理解することができる作品としても世界で評価されている。なにより、純粋に好きなものに夢中になる著者の頭と心の中に広がる無限の世界は驚きに満ちており、読者に新しい発見と視点をもたらしてくれるだろう。
