ぼくは漫画大王
-
- ¥1,000
-
- ¥1,000
発行者による作品情報
第三回島田荘司推理小説賞受賞! 注目の台湾ミステリー
物語は第十二章から始まる。家出していた妻が自宅に戻ると、夫が殺され息子の健ちゃんは密室に閉じ込められていた……。
話は第一章に戻り、奇数章はライバル“太っ許(ふとっきょ)”と漫画大王の座を争う小学生・健ちゃん、偶数章は少年時代に起きた事件のトラウマで鬱々とした人生を送っている妻子持ちの方志宏(ほうしこう)という男を主人公に、二つの視点から語られてゆく。殺人事件の真犯人は誰?
懐かしき日本の漫画と、1970年代から80年代にかけての台湾の空気を盛り込んだ、企みに満ちた本格ミステリー。
APPLE BOOKSのレビュー
台湾人作家 、胡傑(こ・けつ)による王道の叙述ミステリー小説。アパートの一室で方(ほう)家の主人が殺害され、室内には一人息子が閉じ込められていた。この少年が事件の真相を握っているのか、真犯人はだれか。小学生の健ちゃんと中年男性の方志宏(ほう・しこう)による2つの視点のストーリーで解き明かしていく。タイトルにある"漫画大王"とは、漫画が大好きで何百冊も読破した健ちゃんがクラスメイトから得た称号。彼がそれほどまで漫画にのめり込んだことが悲劇につながる。物語には日本の漫画も数多く登場し、舞台となっている1970年代後半から1980年代初頭の台湾において、身近な存在だったことが如実にわかる。また、健ちゃんを中心に漫画をめぐる小学校でのできごとや、方志宏の仕事上の懊悩といった身近な話題を盛り込み、読みやすく仕上げている。その実、精緻な構想を基盤とし、最後まで読者を惹きつける巧みな筆致で綴った力作。