アポカリプスの砦(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

ゾンビパンデミックを描いた作品でありながら、主人公は泣き虫の少年、舞台は少年更生施設という異色の設定。グロテスクな異世界を美しいタッチで描いた大ヒット作『食糧人類』の蔵石ユウとイナベカズによる初コンビ作で、無駄のないスピーディな展開と、長いものに巻かれずに戦い成長する主人公などの共通点が見て取れる。高い塀に囲まれた、ある種の安全地帯だったはずの更正施設にゾンビが押し寄せる。次々と襲撃されゾンビ化する少年たち。最初に危険を感知した監房4号室の4人の仲間は、世界の終わりを仕組んだ謎の人物の存在に気付き、立ち向かおうとする。仲間のちょっとした一言に救われるシーンなど、個性的なキャラクターが助け合う友情物語の一面も楽しめる。