イザベラ・バードの旅 『日本奥地紀行』を読む
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発行者による作品情報
日本観光文化研究所所長時代に行われた幕末・明治期の紀行文を読む講義のうち、昭和51年9月から52年3月まで全7回の『日本奥地紀行』の講義録。一英国人女性旅行家が目をとめた不思議な国「日本」の事象をきっかけに、その資料的価値、バードの視点の出色さを指摘するにとどまらず、著者自身の比類ない観察眼と聞き取り調査に裏打ちされた該博な見識が縦横無尽に紡ぎ出され、宮本民俗学の入門書ともなっている。(講談社学術文庫)
カスタマーレビュー
サモトラケのニャンコ
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宮本常一氏による『日本奥地紀行』講演録
宮本常一氏による『日本奥地紀行』講演録
一流の民俗学者である宮本常一氏による、イザベラ・バードの『日本奥地紀行』をテキストにした東京から北関東や東北、北海道に至る講義録である。実際の講義を録音し文字に起こしたもので、先生の解説が非常に博識であり、又話し言葉なのでテンポ良く読むことができました。
当時の日本人では当たり前のこととして気にも留めない事柄について、彼女はどちらかと言えば現代の人々に近い目で民衆の行動や生活、風土について記録しています。日本人の貧弱な体格や蚤の多さなどは、多くの旅行を体験した第三者の観点からでしょう。宮本常一氏の七夕祭りや蚤から「ねぷた」を、日本では混浴であるためにかえって秩序が保たれているという見方は、非常にとらわれない見方として面白いといった解説は、大変興味深いものでした。貧弱な体格と蚤は、戦後のアメリカの食糧と衛生の支援が大きかったと思います。戦前生まれと戦後生まれの平均身長差が10cm近くあったと聞いたことがあります。
今を生きる日本人が知らなければならないことが数多くある、イザベラ・バードの紀行文をテキストにした貴重な講演録であることは間違いありません。