イベリコ豚を買いに
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3.9 • 7件の評価
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発行者による作品情報
謎だらけのイベリコ豚を追ってスペインへ!
「本当にどんぐりを食べているのか?」「イベリコという町はどこにあるのか?」「安売りセール肉は本物か?」……。
レストラン、スペインバルはもとより、今やコンビニ、回転寿司でもごく普通に売っているイベリコ豚。高級食材として知られているはずのものが、いまや日本全国で手に入るのはなぜか?そもそも、イベリコ豚はそんなに沢山いるのだろうか?
著者はそんな素朴な疑問をいだき、取材を始めた。日本人が知らないイベリコ豚の「真実」を明らかにすべくスペインを目指した著者。幾多の困難を乗り越え、現地に辿り着いた著者を待っていたのは、驚きの連続だった。……。
ローマ時代の遙か昔からスペインで幻の豚を守り育ててきた熱き男たち。そして素晴らしい生ハム作りに命を捧げる職人たちとその家族のドラマを紡ぎながら、知られざるイベリコ豚の生態、そして食肉流通事情を解き明かしていく。さらになりゆきでハム作りにも携わることになり……。
多様なジャンルをテーマに、多くの傑作ノンフィクションを世に出してきた著者がスペインと日本を舞台に描く、読み応えのある食ノンフィクション。単行本時にメディア各社で大絶賛された作品がついに文庫化!
APPLE BOOKSのレビュー
人物、ビジネス、食といった幅広い分野を描くノンフィクション作家・野地秩嘉の傑作ルポルタージュ「イベリコ豚を買いに」。かつて、スペインのイベリコ豚は"どんぐりを食べる豚"としてブームになり、日本に浸透した。その知られざる側面に迫る本書は、著者自らが現地で豚を購入し"豚肉の商人"になるという異例の取材方法を採用。生産・流通・販売といった一連の流れに深く踏み込み、本当にどんぐりを食べた品種は日本市場では希少であることなど、驚きの事実が続々と明らかになる。また、野地は本場スペインで生産者に接するのはもちろん、販路について学ぶために精肉店に足を運び、商品開発の助言を得ようとフランス料理店に赴き、教えを請いながら食文化としてのイベリコ豚に肉迫。彼の真摯な姿勢は人々の心を開き、血の通った言葉を引き出すことに成功している。家畜伝染病の影響で海外取材が頓挫したり、想定していた販売会社が民事再生となったり、度重なる困難から思わぬ方向に転んでいく展開もドラマチックで、強く引き込まれる。