クレイフィッシュ/ブルー(合本)
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4.0 • 1件の評価
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- ¥600
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発行者による作品情報
「クレイフィッシュ/ブルー」(上)(下)の合本です。
「NIGHT HEAD」「アナザヘヴン」「アナン、」「盗作」「黒帯」に続く飯田譲治と梓河人による約7年振りの長編小説。
深夜、太平洋上の豪華なメガヨットに集まった6人の男女。彼らは殺し屋リコの活躍を描く長編漫画「ブルークレイフィッシュ」のファンたちだった。カードゲームで遊ぶ3人、ホームバーの向こうでカクテルを作っている女、ひとりでぽつんと悲劇のヒロインを演じるように落ち込んでいる女、そして、そんな様子を冷静さを装いながら観察するひとりの男……。彼らの間に連帯感は存在しない。ただ、達成しなければならないひとつの共通の目的のために、その夜をメガヨットの中で共に過ごさなければならなかった。緻密な完全犯罪計画をコンプリートさせるという目的のために……。
(序文)
一線を越える、と人はいう。
それは許せることと許せないことの間に横たわる、細い細い線だ。
ある人にとって許せないのは、人から物を盗むことかもしれない。
別の人にとっては、誰かの心や体を傷つけること。
あるいは、ただなにげない嘘をつくことですら許せない人もいるだろう。
あなたには、あなたの線がある。
この世にはさまざまな一線が混じり合い、たくさんの人がある日、ある瞬間、ふいとそれを越えていく。
そうして世界はじわりじわりと広がっていく。
あなたにも、いつか、そんな線を越えてしまう魔の一瞬がくるのだろうか。
だけど、その中でもあの一線だけは特別。
人を殺すこと、殺されること。
どんなモラルの持ち主でも、殺人との間に線を引かない人はいない。
ひどい失敗をしても、まちがいを犯しても、そこさえ越えなければやり直せるだろう。
その一線さえ──。
しかし、あらゆる道のからまりの果てに、ついに最後の線を越えてしまう者たちがいる。
二度と戻ることのできない厭わしきレッドラインを。
そのとき、向こうに見える景色は決してありふれたものではない。