ケシゴムライ‪フ‬

APPLE BOOKSのレビュー

ストーリー構成に定評のある期待の新人マンガ家・羽賀翔一の初短篇集「ケシゴムライフ」。本作は、2011年に週刊マンガ誌で短期集中連載していた表題作に加えて、書き下ろし作品「ZOOO」など全8本の短編を収録している。全作品に共通して描かれているのは、さまざまな人たちの心の交流。「ケシゴムライフ」では、「人間って言葉は "人の間" と書く」というフレーズとともに、"すき間"をテーマにしたストーリーがオムニバス形式で描かれている。「コマのすき間」では、クラスメイトに相手にされない主人公とマンガ家を目指す男子生徒が、一つのケシゴムをきっかけに交流を持つ様がみずみずしい。「ZOOO」では、家を出てしまった父親と息子が、衝突しながらも次第に心を通わせていく姿が胸に響く。綿密に練られたストーリー、ハッとさせられるセリフの数々、そして爽快な結末など、一つひとつの作品の完成度が高く、心に強く残る短篇集に仕上がっている。