



ゲーテはすべてを言った
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4.0 • 2件の評価
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- ¥1,700
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発行者による作品情報
【第172回芥川賞受賞作】
高明なゲーテ学者、博把統一は、一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出会う。
ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが……。
ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。
若き才能が描き出す、アカデミック冒険譚!
APPLE BOOKSのレビュー
第172回(2024年下半期)芥川賞受賞作。ゲーテ研究の第一人者とされる学者が、ゲーテが言ったとされる名言の真贋(しんがん)を確かめる知的冒険譚『ゲーテはすべてを言った』。ゲーテ研究に生涯をささげている大学教授、博把統一(ひろばとういち)は、家族との外食先でティーバッグに書かれていた言葉「Love does not confuse everything, but mixes.(愛はすべてを混淆せず、渾然となす)- Goethe」と出会う。しかし、ゲーテ専門家として身を立ててきた統一の頭の中にその言葉はなかった…。物語は、娘婿である綴喜(つづき)が義父の統一と共に出向いた取材旅行先のドイツで、統一の語る話を録音して書き起こした小説という体で構成される。ドイツの知人から聞いたジョークで、後に統一の人生の示導動機となった「ゲーテはすべてを言った」に行き着く知的探求の旅。現役大学院生の著者ならではの感性あふれるアカデミックな書は、ゲーテの名言は本当にゲーテが言ったものなのか、という問いを発端とした謎解きミステリーとしても楽しめる。何より著者のドイツ文学に関する知識量に圧倒されると共に、哲学の面白さへの入り口にもなる作品だ。